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湿潤療法の実際5 低温熱傷(低温やけど)




初診時 2デブリードンマン後 31日目 42日目
  11日目 611日目ハイドロサイト 718日目 834日目

44日目1064日目1197日目


 こちらは湯たんぽで左下腿に熱傷を負った10歳の男の子です。平成16年1月25日受傷、近所の医療機関に通院していましたが、植皮が必要と言われ、 インターネットで検索、2月4日(受傷後10日)に当院を受診されました。左脛骨前面に3×3cm大の皮膚欠損があり、真皮まで 壊死を起こしていました(写真1)。閉鎖療法を知らなかった頃ならば私も植皮を薦めていただろうと思いますが、ここに掲載するのが憚られるようなもっとひどい例の 治療経験がありましたので、なんとかなるだろうと思い、局所麻酔下に壊死組織の切除を行ない(写真2)、デュオアクティブETによる閉鎖療法を開始しました。翌日には すでに肉芽の形成が始まっており(写真3)、2日目には創面全体が肉芽に覆われました(写真4)。遠方の方なので、その後はお母さんに被覆材を貼りかえてもらい通院は週1〜2回とし、治療開始から11日目には肉芽 が創面を越えて盛り上がるようになってきた(写真5)ので、ハイドロサイトによる被覆に変更したところ(写真6)、過剰な肉芽は平坦になり(写真7)、創が収縮し周囲から上皮化が 起こってきました(治療開始より34日目;写真8)。44日目にはほぼ上皮化したようでした(写真9)が、創面が乾燥気味になってきて、周囲の掻痒が強くなってきました。そこでもう一度デュオアクティブに 戻したところ、肉芽がふやけて盛り上がってしまった(64日目;写真10)ので、以後はハイドロサイトに戻したり、乾きすぎたらワセリンと食品ラップを使ったりして、80日目ごろにはほぼ治っていましたが、97日目に完全に上皮化したことを確認し(写真11)治療終了としました。
 このケースでは終盤の被覆材の選択について考えさせられました。デュオアクティブは治療初期には肉芽形成をとてもよく促進する効果がありますが、保湿力が強すぎてしまうためか、長く使うと肉芽がふやけてしまうようです。 ハイドロサイトは創面が窪んでいる潰瘍の初期には使えませんが、過剰肉芽を平坦にする効果は劇的です。しかしデュオアクティブとは逆に、長く使うと創面が乾燥することがあるように思います。そのあたりの具合を、遠方だからと遠慮せず、もう少しまめに通院していただいて 確認していれば、治療期間はもっと短縮できたかも知れません。それでもご本人とお母さんは、植皮をするよりは良かったと言って下さったので救われましたが、今後のための反省点としたいと思います。ついでに言うと、このケースでは被覆材の上に、保護の目的でサッカーで使う”すねあて”を用いてなかなか有効でした。

実際の治療例はこちら→1擦過傷 2指先部欠損 3やけど 4スポーク外傷 5低温やけど 6顔面熱傷