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腹部超音波診断が有用な小児疾患
成人で腹部超音波検査というと肝臓・膵臓・腎臓等の実質臓器を対象とする場合が多いのですが、小児の場合は実質臓器だけではなく、小児に特有の消化管の病気の診断に役立つこともあります。X線CTなどに比べて精度の点では劣るかもしれませんが、なにより痛みも無く、X線被曝の
心配もないことから、小児の腹部疾患の診断には欠かせない検査だと思います。ここでは超音波が有用な小児特有の疾患を症状別に分類してみます。
嘔吐
腸回転異常症 新生児期の嘔吐を見た場合に真っ先に鑑別すべき病気です。中腸軸捻転(腸が捻れて場合によってはだめになってしまう)を起こしやすく数時間の経過で命に関わる場合がありますが、迅速に診断できれば多くは手術によって助かります。
超音波では腸の血管の位置関係の異常が認められます。
肥厚性幽門狭窄症 生後すぐではなく、2-3週ごろから激しい嘔吐がみられるようになった場合に疑われます。超音波では胃の出口(幽門)の筋肉が厚くなって内径が細くなっているのがわかります。多くの場合手術が必要です。
胃食道逆流症 胃の入り口のしまりが悪く、胃から食道への逆流が起こりやすい状態です。ミルクを飲ませてから超音波検査をするとリアルタイムで逆流が起こっているのがわかります。多くは経過観察か薬物療法で改善しますが、体重増加が悪い場合や、肺炎を繰り返すような例では手術が必要になります。
黄疸/灰白色便
胆道閉鎖症 生まれつき胆道(肝臓から出る胆汁の通り道)のどこかが閉鎖してしまっている病気です。胆嚢(一時的に胆汁を貯めておく袋)が認められないことが診断の手がかりになります。手術が必要です。
胆道拡張症 胆道の出口がつまって拡張してしまう病気です。大人になるまで見つからないこともありますが、癌化することがあるので小児期に発見されたらなるべく早く手術を行ないます。
血便
腸重積症 腸が腸の中に重なって入り込んでしまう病気です。普通は超音波ではわかりにくい腸管が、重なって塊になるのではっきりわかるようになります。大体はお尻から圧をかけることによって治りますが、時間が経ってしまった例では手術になることがあります。
O-157感染症 直腸(一番お尻に近い腸)の壁が著しく肥厚する場合があります。
発熱
原因がわからない発熱をみた場合に腹部超音波が有用な場合があります。
悪性腫瘍 小児期に多い副腎の神経芽細胞腫、肝芽腫、腎芽腫などは腹部超音波で発見できます。
白血病 脾臓がはれることが多いので診断の手がかりになります。
腎臓の異常 尿の通り道がつまっている場合や、膀胱から腎臓の方向に尿がひどく逆流している場合には腎臓が腫れているのがわかります。
その他の腹部疾患
虫垂炎(いわゆる盲腸)、膵炎、卵巣嚢腫なども超音波で診断できます。
腹部以外の超音波診断
小児特有の疾患として、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、川崎病のリンパ節腫大などの診断に有用です。
睾丸の病気として睾丸捻転、停留睾丸なども超音波検査で診断可能です。