柿田医院ブログ

2020.12.01更新

 本日、胃腸炎の患者さんに薬の説明をしながら、下痢と下痢止め薬の関係はコロナ禍とロックダウンや時短・自粛営業の関係に似ているなと思いました。
 感染性の下痢は悪いものを排除しようとする人体の防衛反応であり、無理に腸の動きを止めるような下痢止め薬を使うと病原体を体に留めることになりかえって重症化したり経過が長引くので、やたらと使わず自然に任せた方が結果的にはベターという考え方が主流です。現にロペラミドやブチルスコポラミンという腸管運動抑制作用のある薬の注意書きでは、重症感染性下痢患者には禁忌とされています。胃腸炎の症状の一つでしかない下痢だけに目を向けて、一時しのぎのために下痢止め薬を使うとかえって人体に有害になるかもしれないのです。
 ロックダウンはコロナの感染拡大抑制に一時的な効果はあるでしょうが、経済・社会の停滞を考えるといつまでも続けられることではありません。結局ある程度で解除せざるをえず、また感染が拡大しロックダウンをするという繰り返しになり、コロナ禍の長期化を招くかもしれません。やったとしてもやらなかった場合と比較して、結果的に全体の被害を著明に減らせるかどうかは分からず、決着を先延ばしにする効果しか無いようにも思えます。唯一期待される効果は、超有効なワクチンが開発されるまで持ち堪えるための時間稼ぎとなることですが、現状ではワクチンにはそこまで期待できないように思います。
 一方、コロナ禍が長引くほど社会のダメージが大きくなることは確実です。下痢止め薬で病気が長引く・重症化するのがまずいのと同様、ロックダウンによりコロナ禍が長引いて社会全体のダメージが深く大きくなるのは避けたいところです。
 以前にも書きましたが、日本では例年のインフルエンザの死者数を越えてはいないのですから、今のところはインフルエンザと同じ程度の扱いにして構わないのではないでしょうか。
 この件でよく問われる「経済と人命どっちが大事か」という命題には、「人命」と答えるのが正解だと思いますが、私はこの命題の設定に誤りがあると思っています。
 今回のコロナ禍で人が亡くなる原因としては、感染症による病死という直接的なものだけではなく、経済的破綻や抑鬱による自死という間接的なものにも注目しなければなりません。現実に自死が非常に増えてコロナ関連死の総数を上回っているとの報道があります。
 ですからコロナ禍の問題点を論ずるにあたり何か命題を立てるとしたら「病死と自死どちらがマシか」、対策を立てるとしたらどちらを抑えるのが社会全体にベターかを検討するべきです。つまり感染対策に重点を置いて救える命と経済対策に重点を置いて救える命はどちらが多いかを考えるべきだということです。当然ベストは両方救うことですが、どちらの死も同時に0にするのは不可能で、より多くの人を救う方向にシフトして落とし所を見つけるのが今必要な事だと思います。
 政府としては何もしないでいられないのは分かりますが、現在の日本の状況であれば、胃腸炎の治療と同様に、自然に任せて何もしないのがベストかもしれないと言う人が一人ぐらいいても良いのではないかと思います。
 上記はあくまでも欧米と比較して死亡率が低い現在の日本の状況を鑑みての話で、今後ももちろんハイリスク者には十分に注意しつつ、死亡率・重症化率のモニタリングは継続して、状況に応じて対応を変更する必要が生じることはあると思います。最後にちょっと逃げたね。

投稿者: 柿田医院

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